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【司法書士が解説!】相続手続依頼書とは?金融機関での相続手続きのポイント!

相続が発生した際に最も頻繁に登場するのが、「預貯金の相続」になります。

金融広報中央委員会の発表によると、2人以上世帯の実に約80%が金融資産を保有しているといいます。このデータだけで、どれだけ多くの預貯金の相続が発生しているかが想像できたのではないでしょうか?

一方で、実際に預貯金の相続に必要な書類や必要な手続きについて自信をもって詳しいと言える人が少ないのも事実です。

そこで今回は、この「預貯金の相続」と重要な役割を果たす「相続手続依頼書」について解説してまいります。

相続手続依頼書とは?

相続手続依頼書とは、相続の発生にあたり相続人が金融機関に提出する必要のある書類になります。

具体的には、被相続人(亡くなった方)が預金・貯金を行っていた銀行や信用金庫等の金融機関に対して、その預貯金口座の所有権を相続人に移す相続手続きを依頼するために使用されます。

ここが少しややこしいのですが、この相続手続依頼書は金融機関ごとにその書式や形式が異なっているため、各金融機関でそれぞれ独自の書類を使用する必要があります

また、各金融機関でこちらの書類の名称が異なるため注意が必要です。

【金融機関ごとの名称一覧】

愛媛銀行:「相続に関する依頼書」
伊予銀行:「相続手続依頼書」
ゆうちょ銀行:「貯金等相続手続請求書」
三菱UFJ銀行:「相続届」
三井住友銀行:「相続に関する依頼書」
みずほ銀行:「相続関係届書」

いずれの金融機関にしても、各金融機関所定の書式で書類を用意し手続きを行っていく必要があるということになります。

中には法定相続人全員文の署名捺印や、印鑑証明を求めるタイプの相続手続依頼書もあるため、あらかじめどのような書類が必要かを調べておくとスムーズに手続きを行うことができるでしょう。

相続手続依頼書はどこで手に入れるの?

相続手続を行う際には、まず相続の発生を金融機関に連絡する必要があります。

この連絡を行ったうえで、以下の2つの方法のうちのどちらかの方法を用いて相続手続依頼書を受け取ることができます。

①郵送で送ってもらう

一つ目は郵送で送ってもらうという方法です。

金融機関によっては、相続専門の部署を置いているところもあり、そうした部署に連絡をすることで相続に必要な書類を送付してもらうことできます。その必要書類の中に相続手続依頼書が入っています。

相続専門の部署がなくても、サービスに関する問い合わせのダイヤルからも相続手続依頼書の請求を行うことができる場合もあります。

まずは被相続人の取引のあった金融機関に連絡してみましょう。

②最寄りの店舗で受け取る

ご自身が住んでいる地域の最寄りの金融機関の店舗で受け取ることもできます。

多くの場合は「相続が発生したので必要書類を受け取りたい」というように伝えることで相続手続依頼書を受け取る事ができます。

近隣に支店がなく、すぐに店舗に向かうのが難しいという場合には、郵送で送ってもらいましょう。

相続手続依頼書はいつ使うの?

実際に相続手続依頼書を利用するにあたって、預貯金の相続の手続きの流れを把握しておきましょう。

相続の全体像をあらかじめ知っておくことで不安が少ない状態で相続を進めることができます。

ここでは一般的な金融機関での相続の流れをご紹介いたします。

STEP1:手続きのお申し出

口座の名義人の方が亡くなられた場合は、まずお取引金融機関に連絡を入れましょう。

取引内容や相続のケースに応じて、その後の相続手続についての案内があります。

このタイミングで相続手続依頼書を受け取ることになります。

金融機関に相続発生の旨を連絡すると同時に、被相続人の方の口座での取引は制限されることになります。

なお、被相続人が死亡してから相続終了までの間に勝手に預貯金をおろしたり使ったりすると、遺産相続の際にトラブルに発展する可能性があるので基本的には口座の預貯金には触れないようにしましょう

STEP2:必要書類の準備

次に各銀行での相続手続に必要な書類を収集します。

相続手続きは、時に人から人へと莫大な資産が移動する手続きであるため、多岐に渡る書類が必要とされます。もちろんこの中に、相続手続依頼書も含まれています。

ここでは、一般的に必要とされる書類を網羅的に紹介しています。。

【必要書類一覧】
・遺産分割協議書(相続人全員の署名・実印で押印)
・相続に関する依頼書 ・被相続人の出生から死亡までの戸籍
・相続人全員の戸籍(1年以内) ・相続人全員の印鑑証明書(3か月以内)
・被相続人の通帳及びカード ・名義変更を受ける相続人の実印及び銀行印
・名義変更を受ける相続人の免許証等本人確認書類 高知銀行の預金の払戻手続の場合、以下の書類が必要となります。
・相続に関する依頼書(相続人全員の署名・実印で押印)
・被相続人の出生から死亡までの戸籍 ・相続人全員の戸籍(1年以内)
・相続人全員の印鑑証明書(3か月以内)
・被相続人の通帳及びカード
・相続人代表者の通帳
・相続人代表者の実印
・相続人代表者の免許証等本人確認書類

銀行によってはこれ以外の書類が必要だったり、ここにある書類が必要なかったりする場合もあります。

詳しくは以下の金融機関ごとの相続手続ページをご確認ください。

STEP3:必要書類の提出

必要書類がそろい次第、相続手続依頼書とともに金融機関に提出をします。

相続手続依頼書にしたがって金融機関での相続手続が開始されます。

STEP4:払い戻し等の手続き

必要書類の提出が完了し、書類の確認が終わると払い戻し等の手続きが行われるようになります。

なお、金融機関によってはこの書類の提出から手続きの開始まで数日の時間がかかる場合もあります。

金融機関での相続手続の流れが分かったところで、相続手続依頼書の書き方についても少し見ていきましょう

相続手続依頼書の記入例と注意点

一例としてここではりそな銀行の相続手続依頼書の記入例を紹介いたします。

記入例はコチラ>>

預貯金の相続手続を行う際にこのような依頼書に記入を行うことで相続手続が開始されることになります。

実際に上記のリンクから記入例をご覧になった方は「なんとなく書くことが多いな」と感じたのではないでしょうか?

実はただ書くことが多いだけでなく、いくつかの注意点があります

①相続人全員の署名・捺印が必要

表面左側を見ていただくと、その預貯金を相続する相続人の署名・捺印の欄があるのが分かるかともいます。

一つの預貯金に対して複数の相続人がいる場合、一つの書類に対して全ての相続人が署名・捺印をする必要があります。

相続する相続人の抜け漏れが無いように全ての相続人から署名・捺印をしてもらいましょう

②通帳の喪失

表面の右側最下部にある記入欄になります。

通帳を喪失していた場合、どの通帳を紛失・喪失したかを記入する必要があります。

万が一、亡くなった被相続人の通帳はおろかカードも見つからないといった場合には、まず被相続人が所有していた口座の口座番号を確認するところから始める必要があります。

このような状態にある方はまず金融機関に問い合わせを行いましょう。

③預貯金以外の金融資産の存在

裏面全体が預貯金以外の金融資産の相続手続きの依頼書となっています。

こちらは投資信託や貸金庫といった金融資産についての手続き依頼書となっています。

場合によっては亡くなった被相続人の方がどのような金融資産をお持ちだったかわからないというケースもあるかと思います。

こうした場合にも、まず金融機関に問い合わせを行いどのような金融資産が存在しているかを確認する必要があります。

ここでは大きく3つの注意点を交えながら、相続手続依頼書の記入例について紹介してまいりました。

最後に一つ、被相続人が預貯金口座を複数お持ちだった際にはこうした書類をその金融機関の数だけ書く必要があるということもご留意ください。

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この記事の執筆者
司法書士法人リーガル・パートナー 代表司法書士 小和田 大輔
保有資格 司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者
群馬司法書士会 第475号
簡裁訴訟代理認定番号 第307038号
専門分野 不動産登記全般、相続全般
経歴 群馬司法書士会所属。平成10年に横浜国立大学卒業後、大手ハウスメーカーに入社。同年に宅地建物取引主任者試験に合格。平成13年に退社後、平成15年に司法書士試験と行政書士試験に合格。平成16年に合同司法書士リーガル・パートナーを開業。同年に簡易訴訟代理認定を取得。平成17年に群馬県初の司法書士法人である、司法書士法人リーガル・パートナー開業。現在は、群馬県の太田市を中心に、桐生市、高崎市に事務所がある。群馬県の相続の専門家として、群馬県内の相続の相談に対応している。

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