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海外に在住している相続人がいる場合

相続人の中に海外居住者がいる場合でも、相続手続きの流れに大きな違いはありません。
ただし、相続手続には必ず相続人の実印と印鑑証明書が必要になります。
日本に住所登録をしておらず海外に居住している相続人には、印鑑証明書が発行されません。

そこで、海外居住者の為に日本での印鑑証明書に代わるものとして、本人の署名及び拇印であることを証明する署名証明書(サイン証明書)を現地の日本領事館等で発行してもらいます。
また、遺産分割協議の結果として不動産を相続する場合は住民票も必要になりますが、海外在住の場合は住民票という制度がない国が大半です。

そのため、住民票に代わる在留証明書の発行が必要になります。

在留証明書を受けるには、以下の要件が必要となります。

・日本国籍を有している。
・現地で既に3か月以上滞在し、住所が公文書などで明らかになっている。
・発行手数料を現地通貨で支払う。

なお、在留証明書の申請方法・手数料・必要書類など詳細については、証明を受けようとする在外公館に直接お問合わせください。

海外に在住している相続人がいるケースを解決した事例

フィリピン人で住所不明な相続人がいるケース

依頼者の状況

20数年前に、お父様が亡くなりました。
相続人であった長男と次男の二郎さんはお父様の相続手続きをせずにおり、
先日二郎さんがお亡くなりになりました。

二郎さんの財産には、土地と建物があり、長男が相続手続きのため戸籍を収集すると、二郎さんはフィリピン人と結婚をしていたことがわかりました。

二郎さんは家族に内緒で結婚をしていたため、ご家族のどなたも結婚相手の存在を知りませんでした。
二郎さんの友人をたどると、二郎さんの奥様はすでにフィリピンに戻っているということで、
奥様の住所が分からず、遺産分割を行うことができませんでした。

そこで、長男様より、どのように今後手続きを進めればよいのかと当事務所へご相談がありました。

当相談窓口からの提案・お手伝い内容

二郎さんの奥様を探し出すことは困難であることから、不在者ということで「不在者管理人」を選任し、不在者がいても遺産分割を進められるように手続きを進めました。

遺産分割協議書の中で、もし二郎さんの奥様から遺産の請求を受けた場合には、50万円を渡す旨を記載し、遺産分割協議書を作成しました。

遺産分割協議書を元に、不動産の名義変更を行い、相続手続きが完了しました。

長男様より、行方不明の不在者がおり困っていたが、手続きを完了することができて安心したと、大変喜んでいただけました。

相続の専門家のワンポイントアドバイス

亡くなった方が日本国籍の場合

亡くなった方が日本国籍で、相続人となる人が外国籍という場合には、すべて日本の相続に関する法律が適用されます(「法の適用に関する通則法」という名前の法律の第36条に「相続は、被相続人の本国法による」という規定があります)

日本の法律では、外国籍の人であっても、親族であれば日本人とまったく同じように相続人としての権利が認められますから、在留資格やビザの問題がある相続人であったとしても相続の権利に関しては日本人の親族と同様に扱われることになります。

遺言を残したいというような場合でも、財産を相続させる相手の国籍には関係なく、すべての日本の法律に基づいて遺言書を作成する必要があります。

亡くなった方が外国籍の場合

亡くなった方が外国籍であるという場合には、基本的にその方が国籍を持つ外国の法律が適用されます。

しかし、その外国の法律に「その人が住んでいる地域の法律が適用される」というルールがあり、相続人や亡くなった方が生前住んでいた場所が日本であったというケースでは、日本の相続に関する法律が適用されます。

相続人が海外にいて相続手続きができない場合は?

相続が発生した場合、相続人となる人が複数人いる場合には遺産分割の協議を行い、誰がどれだけの財産を相続するのかを確定しなくてはなりません。

相続発生から10ヶ月後には相続税の納税も行う必要がありますから、相続人が海外にいて連絡が取りにくいというような場合には早めに対策を考えなくてはなりません(相続税は実際に相続した財産の割合に応じて負担しますから、まずは財産相続の割合を確定しなくては話が進みません)

相続人となる人が海外に在住していて、まったく連絡が取ることができないというようなケースでは、相続財産管理人の選任を家庭裁判所に対して申し立てることが考えられます。

相続財産管理人は不在者に代わって相続財産を調査したり、必要な経費を相続財産の中から支払ったりする権限が与えられますから、相続に関する手続きを円滑に行うのに役立ってくれます。

なお、相続財産管理人は司法書士・弁護士などの専門家が選任されるケースが多いです。

相続人が海外にいても大丈夫!相続専門の司法書士へお気軽にご相談ください。

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この記事の執筆者
司法書士法人リーガル・パートナー 代表司法書士 小和田 大輔
保有資格 司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者
群馬司法書士会 第475号
簡裁訴訟代理認定番号 第307038号
専門分野 不動産登記全般、相続全般
経歴 群馬司法書士会所属。平成10年に横浜国立大学卒業後、大手ハウスメーカーに入社。同年に宅地建物取引主任者試験に合格。平成13年に退社後、平成15年に司法書士試験と行政書士試験に合格。平成16年に合同司法書士リーガル・パートナーを開業。同年に簡易訴訟代理認定を取得。平成17年に群馬県初の司法書士法人である、司法書士法人リーガル・パートナー開業。現在は、群馬県の太田市を中心に、桐生市、高崎市に事務所がある。群馬県の相続の専門家として、群馬県内の相続の相談に対応している。

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