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【リ・バース60】「相続人がいない」と困る?死亡時の手続きと残債処理を徹底解説

「リ・バース60を利用したいけど、相続人がいない場合はどうなるんだろう?」

近年、シニア世代の住宅ローンとして注目を集めるリ・バース60。

自宅を担保に老後の資金を借り入れられる便利な仕組みですが、「もし契約者が亡くなったら、相続人がいないとどうなるの?」という疑問や不安を抱えている方も少なくありません。

今回の記事では、リ・バース60における「相続問題」 特に「相続人がいない」場合に焦点を当て、死亡時の手続きから残債処理までを徹底的に解説します。

目次

1. はじめに:リ・バース60と「相続問題」に潜む不安を解消!

2. リ・バース60の基本理解:仕組みと利用条件

3. 相続人「なし」でも大丈夫?リ・バース60の「ノンリコース型」徹底解説

4. 契約者死亡時:相続人がいない場合の「手続き」と「残債処理」の全容

5. 【ココが違う!】ノンリコース型と「相続放棄」の決定的な違い

6. 【Q&A】リ・バース60に関するよくある質問

7.「相続人がいない」リ・バース60、専門家への相談が解決への近道

8. まとめ:リ・バース60と相続問題、後悔しない選択のために

1. はじめに:リ・バース60と「相続問題」に潜む不安を解消!

老後の生活資金やリフォーム費用、あるいは老人ホームの入居一時金など、シニア世代のお金に関する悩みを解決する手段として、リ・バース60は非常に有効です。

しかし、一般的な住宅ローンとは異なり、契約者が亡くなった後に元本を返済するという特性から、「相続」に関する疑問や不安はつきものです。

特に、「自分には相続人がいない」「子供に迷惑をかけたくない」と考えている方にとって、リ・バース60の仕組みは複雑に感じられるかもしれません。

この記事では、そうした疑問や不安に寄り添いながら、リ・バース60の正しい知識と対策をお伝えしていきます。

2. リ・バース60の基本理解:仕組みと利用条件

まず、リ・バース60がどのようなローンなのか、その基本的な仕組みと利用条件を確認しておきましょう。

リ・バース60とは?住宅金融支援機構の新しいローン

リ・バース60は、住宅金融支援機構が提供する住宅ローンの一種です。

持ち家を担保にして金融機関から資金を借り入れ、原則として契約者が生きている間は利息のみを支払い、契約者の死亡後に元本を一括で返済するという特徴があります。

主な利用条件(年齢、資金使途、借入限度額など)

リ・バース60を利用するには、いくつかの条件があります。

返済方法の仕組み:元本一括返済方式とは

リ・バース60の最大の特徴は、「元本一括返済方式」です。返済方法は次のようになっています。

  1. ①契約者存命中は利息のみを返済
    1.  毎月の支払いは利息分だけで済むため、現役世代よりも収入が減りがちな老後の家計負担を軽減できます。
  2.  
  3. ②契約者死亡後に元本を一括返済
  4.  契約者が亡くなった後、担保にした不動産を売却して返済するか、相続人が自己資金で返済するかを選択することになります。

もし担保不動産を売却した場合、その売却代金でローン残債を完済できないケースも考えられます。
この残った借金の返済義務が、相続人に生じるのかどうかが重要なポイントになります。

3. 相続人「なし」でも大丈夫?リ・バース60の「ノンリコース型」徹底解説

「自分の死後に相続人に迷惑をかけたくない」「そもそも相続人がいない」という方にとって、リ・バース60の「ノンリコース型」は非常に重要な選択肢です。

「リコース型」と「ノンリコース型」の違いを比較

リ・バース60には、以下の2つの契約タイプがあります。

リコース型: 契約者が死亡し、担保物件を売却してもローン残債が残った場合、相続人にその残債の返済義務が発生します。金利はノンリコース型に比べて低めに設定されていることが多いです。

ノンリコース型: 契約者が死亡し、担保物件を売却してもローン残債が残った場合、相続人に残債の返済義務は発生しません。その代わり、リコース型よりも金利が高めに設定されています。

相続人に負担をかけない「ノンリコース型」のメリット・デメリット

メリット

相続人に経済的負担がかからない: もし不動産の売却価格がローン残債を下回っても、相続人が差額を支払う必要がありません。

相続人がいない場合も安心: 自身の死後、財産清算や借金返済で複雑な問題が生じる心配が減ります。


デメリット

金利が高くなる: リコース型と比較して、支払う利息の総額が増える可能性があります。

利用できる金融機関が限られる場合も: 一部の金融機関では、ノンリコース型を取り扱っていない場合もあります。

金利とリスク:あなたのライフプランに合わせた選び方

ノンリコース型は相続人への負担がないため安心ですが、金利が高いというデメリットも考慮しなければなりません。

ご自身の資産状況、将来のライフプラン、相続人の有無や意向などを総合的に検討し、どちらのタイプが自分に合っているか慎重に選びましょう。

4. 契約者死亡時:相続人がいない場合の「手続き」と「残債処理」の全容

それでは、実際にリ・バース60の契約者が死亡し、なおかつ相続人がいない場合、どのような手続きと残債処理が行われるのかを見ていきましょう。

契約者が全員死亡した場合の金融機関への連絡

まず、契約者が亡くなったことを知った関係者(近親者や自治体など)が、契約している金融機関に連絡することが第一歩となります。

相続財産清算人の選任と役割

相続人がいない場合、故人の財産は「相続財産」として扱われますが、そのままでは管理や処分ができません。

この場合、住宅金融支援機構が金融機関から債権を取得した後、裁判所に「相続財産清算人の選任」を申し立てることになります。

相続財産清算人とは、故人の財産(プラスの財産もマイナスの財産も含む)を調査し、債権者への弁済や残余財産の国庫への帰属など、清算手続きを行う人(通常は弁護士など)です。

担保物件の「競売」と「任意売却」:売却代金で返済

相続財産清算人が選任されると、担保となっている物件の処分が行われます。

競売(けいばい): 住宅金融支援機構が裁判所に担保物件の競売を申請し、裁判所の主導で物件が売却されます。売却代金はローンの残債に充当されます。

任意売却: 相続財産清算人が選任された後、裁判所の許可を得て、競売ではなく一般市場で物件を売却する「任意売却」を選択することもあります。
任意売却の方が競売よりも高値で売れる可能性が高いため、残債をより多く回収できる可能性があります。

売却代金が残債を下回る場合(ノンリコース型ならどうなる?)

万が一、担保物件の売却代金がローンの残債に満たなかった場合はどうなるのでしょうか。

ノンリコース型の場合: 残った借金は金融機関(最終的には住宅金融支援機構)が負担し、相続人や相続財産清算人が追加で返済する必要はありません。これが、ノンリコース型の最大のメリットです。

リコース型の場合: 相続人がいれば、相続人が残債を返済する義務を負います。相続人がいない場合は、最終的に住宅金融支援機構が債権を放棄することになりますが、手続きが複雑になる可能性があります。

売却代金が残債を上回る場合(余剰金の扱い)

もし担保物件の売却代金がローンの残債を上回った場合、残ったお金(余剰金)は、相続財産清算人によって清算手続きが進められ、最終的には国庫に帰属することになります

相続人がいないため、特定の人に分配されることはありません。

延滞損害金に注意!配偶者が残る場合の売却保留期間

契約者が1人で、その契約者が死亡した際に、担保物件に配偶者(連帯債務者ではない)が居住している場合、配偶者が引き続きその自宅に住み続けることを希望すれば、担保物件の売却を最長3年間まで保留できます

この保留期間中は返済も留保されますが、注意すべき点があります。
契約者の死亡日から「延滞損害金」が発生し続けるのです。
延滞損害金は日割りで加算されるため、保留期間が長くなればなるほど金額が膨らんでしまいます。

配偶者が残る場合は、速やかに今後の住まいや返済について金融機関と相談することが重要です。

5. 【ココが違う!】ノンリコース型と「相続放棄」の決定的な違い

リ・バース60のノンリコース型は「残債の返済義務がなくなる」と聞くと、「相続放棄と同じなのでは?」と思う方もいるかもしれません。

しかし、この2つは全く異なるものです。

相続放棄とは?そのメリット・デメリット

相続放棄とは、被相続人(亡くなった人)のすべての財産(プラスの財産もマイナスの財産も含む)を一切受け継がないという意思表示です。

メリット: 被相続人の借金や負債を引き継ぐ義務がなくなるため、自己破産などのリスクを回避できます。

デメリット: 借金だけでなく、預貯金や不動産、車などのプラスの財産もすべて放棄することになります。一度相続放棄をすると原則として撤回できません。

なぜノンリコース型は相続放棄ではないのか?(放棄する対象の違い)

ノンリコース型と相続放棄の最大の違いは、「放棄する対象」です。

ノンリコース型: 「担保物件の売却代金でローン残債を完済できなかった場合の差額分の返済義務」のみを免除するものです。
借り入れた元本自体は、担保物件の売却によって返済されます。相続財産のうち、担保物件以外の預貯金などは相続の対象となります。

相続放棄: 被相続人のすべての財産(借金を含む)を放棄するものです。これにより、相続人としての権利が全てなくなります。


つまり、ノンリコース型はあくまでリ・バース60の契約上の特約であり、相続放棄とは法的な意味合いが根本的に異なります

相続放棄について詳しくはこちら>>

6. 【Q&A】リ・バース60に関するよくある質問

相続人がいなくてもリ・バース60は利用できる?

リ・バース60の利用に相続人の有無が関係するかは、金融機関によって判断が異なります

一般的には、相続人がいない場合でも利用できるケースはありますが、念のため事前に各金融機関に確認することをおすすめします。

リ・バース60で誰が相続人になれるのか?(推定相続人の定義)

リ・バース60における「相続人」は、一般的に「推定相続人」を指します。

推定相続人とは、現時点で契約者が死亡した場合に、直ちに遺産を相続すると推定される人々のことです。

具体的には、被相続人の配偶者、子供、孫、親、兄弟姉妹などがこれに該当します。

ほとんどの場合、推定相続人は法定相続人と同義として扱われます。

担保物件を売却せずに、相続人が引き継ぐ方法は?

相続人がいる場合で、自己資金や新たにリ・バース60を組むなどでローンを一括返済できれば、担保物件を売却せずにそのまま引き継ぐことが可能です。

ただし、相続人がいない場合は、原則として担保物件は売却され、ローン返済に充当されます。

団体信用生命保険(団信)には加入できる?

リ・バース60を利用する場合、団体信用生命保険(団信)には加入できません

団信は、住宅ローン契約者が死亡した場合に、保険金でローン残債が完済される保険です。

しかし、リ・バース60は「契約者が死亡して初めて元本の返済が始まる」という性質を持つため、団信の仕組みとは相容れません。

金融機関でのカウンセリングは相続人も対象?

金融機関でのリ・バース60に関するカウンセリングは、主に債務者(契約者)とその配偶者(連帯債務者でない場合も含む)を対象に行われます。

相続人や同居人に対してのカウンセリングの有無は、金融機関によって対応が異なりますので、事前に問い合わせて確認しましょう。

7.「相続人がいない」リ・バース60、専門家への相談が解決への近道

リ・バース60は、老後の住まいと資金に関する新しい選択肢として非常に有効です。

しかし、特に「相続人がいない」という状況下では、死亡後の手続きや残債処理、そして万が一の競売手続きなど、複雑な法律問題が絡んできます。

「自分には相続人がいないから、亡くなった後にどうなるのか漠然と不安だ」

「リ・バース60のノンリコース型を選べば安心だと分かったけど、他の財産のことも心配だ」

「もしもの時に、自宅の処分や財産の清算を誰に頼めばいいのか分からない」

このようなお悩みやご不安をお持ちではありませんか?
悩みや不安がある際には、専門家に相談することをおすすめします。

司法書士がサポートできること


相続人がいない場合の不動産や財産の処分には、専門的な知識と手続きが求められます。

特に、相続財産清算人の選任申し立てや、不動産の登記手続き、売却に関する法的なサポートなどは、一般の方にとっては非常に負担の大きい作業です。

司法書士は、こうした複雑な法的手続きの専門家です。司法書士がサポートできる手続きの一部を紹介します。

相続財産清算人の選任申立てサポート: 相続人がいない場合、裁判所への相続財産清算人選任の申立てを代行します。

不動産の登記手続き: 故人名義の不動産を売却するための名義変更など、必要な登記手続きを円滑に進めます。

遺言書の作成支援: 生前にご自身の希望通りに財産が処分されるよう、法的に有効な遺言書の作成をサポートします。これにより、将来的な手続きの複雑さを軽減できます。

任意後見契約: ご自身の判断能力が低下した場合に備え、あらかじめ財産管理や身上監護を任せる人を決めておく任意後見契約のサポートも可能です。

お一人で抱え込まず、今すぐご相談ください


「相続人がいない」という状況でリバース60を利用する、あるいは既に利用している場合は、将来のためにできる対策を講じておくことが重要です。

漠然とした不安を抱えたままにせず、ぜひ一度、相続や不動産登記の専門家である司法書士にご相談ください。

当事務所では、リバース60の特性を理解した上で、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なサポートをご提供いたします。

初回相談は無料ですので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

8. まとめ:リ・バース60と相続問題、後悔しない選択のために

今回の記事では、リ・バース60における「相続人がいない」場合の死亡時の手続きと残債処理について詳しく解説しました。

リ・バース60の契約者が死亡した場合、相続人の有無によって手続きや残債処理の流れが異なります。
「ノンリコース型」を選択すれば、万が一、担保物件の売却代金がローン残債を下回っても、相続人に残債の返済義務は発生しません

ノンリコース型は「相続放棄」とは異なるもので、あくまでローン契約上の特約であることを理解しておきましょう。
相続人がいない場合、最終的には担保物件は競売などにより売却され、残債に充当されます。

リ・バース60は、老後の生活を豊かにするための有効な手段です。
しかし、その特性から一般的な住宅ローンとは異なる点が多々あります。
特に「相続人がいない」という状況では、事前にしっかりと仕組みを理解し、不安を解消しておくことが何よりも重要です。

ご自身のライフプランや将来の状況を見据え、後悔しない選択をするためにも、まずは専門家に相談してみることを強くおすすめします。

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この記事の執筆者
司法書士法人リーガル・パートナー 代表司法書士 小和田 大輔
保有資格 司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者
群馬司法書士会 第475号
簡裁訴訟代理認定番号 第307038号
専門分野 不動産登記全般、相続全般
経歴 群馬司法書士会所属。平成10年に横浜国立大学卒業後、大手ハウスメーカーに入社。同年に宅地建物取引主任者試験に合格。平成13年に退社後、平成15年に司法書士試験と行政書士試験に合格。平成16年に合同司法書士リーガル・パートナーを開業。同年に簡易訴訟代理認定を取得。平成17年に群馬県初の司法書士法人である、司法書士法人リーガル・パートナー開業。現在は、群馬県の太田市を中心に、桐生市、高崎市に事務所がある。群馬県の相続の専門家として、群馬県内の相続の相談に対応している。

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